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2024年度「介護職員処遇改善支援補助金」の実施要項や対象となる要件・ポイント

2024.04.19
2024年度「介護職員処遇改善支援補助金」の実施要項や対象となる要件・ポイント

2024年(令和6年)2月から5月までの期間、介護職員の賃金改善を促進するための「介護職員処遇改善支援補助金」が実施されます。

補助金額は介護サービス事業所の総報酬に交付率を乗じた金額となり、ベースアップ等支援加算(ベア加算)の取得といった支給の要件もあるため、補助金制度の内容を理解したうえで対応する必要があります。

本記事では、2024年度の「介護職員処遇改善支援補助金」の実施要項や対象となる要件、介護・福祉事業所で対応する際のポイントについて解説します。

2024年度「介護職員処遇改善支援補助金」の実施要項

2024年度の「介護職員処遇改善支援補助金」は、介護職員の処遇改善を支援する目的で設立され、介護サービス事業所や施設に対して提供される補助金です。

まずは、同補助金の実施要項について、下記8つの項目を解説

  • 対象期間
  • 補助金額
  • 交付率
  • 対象となる職種と、職種間での補助金の配分方法
  • 対象となる事業所
  • 申請方法・報告方法
  • 提出先
  • 提出期限

出典:厚生労働省資料「介護職員処遇改善支援補助金」のご案内介護保険最新情報 Vol.1202 令和6年1月 25 日

対象期間

2024年度の「介護職員処遇改善支援補助金」の対象期間は、2024年(令和6年)2月から5月までの賃金引き上げ分に適用されます。

なお、その後も別途賃上げの効果を持続させるための取り組みが行われるものとされており、6月以降は介護報酬の改定により、今回の補助金額を上回る加算率の追加措置が行われる予定です。

補助金額

補助金額は、各介護サービス事業所の総報酬に、サービスごとに設定された交付率を乗じた金額が支給されます。

補助金額

引用:「介護職員処遇改善支援補助金」のご案内|厚生労働省

算定式の加算減算には、「介護職員処遇改善加算」「介護職員等特定処遇改善加算」「介護職員等ベースアップ等支援加算」の加算分が含まれます。

例えば、介護サービス別の補助金額の計算例は、以下の通りです。

【訪問介護】交付率:1.2%
仮に、月間の介護報酬の総額が250万円の事業所では、30,000円が支給されます。

【通所介護】交付率:0.7%
仮に、月間の介護報酬の総額が500万円の場合、35,000円が支給されます。

【介護老人福祉施設】交付率:0.9%
仮に、月間の介護報酬の総額が300万円の場合、27,000円が支給されます。

標準的な職員配置の事業所では、介護職員(常勤換算)1人当たり月額6,000円ほど(給与の約2%)の賃金引上げに相当する額が交付されます。

ただし、この金額はあくまで目安であり、各事業所の職員配置状況によっては、介護職員全員に対して一律で月額6,000円の引き上げが行われるわけではない点には注意が必要です。

交付率

2024年度の「介護職員処遇改善支援補助金」の交付率一覧は、以下の通りです。

サービス区分

交付率

・訪問介護
・夜間対応型訪問介護
・定期巡回・随時対応型訪問介護看護

1.2%

・(介護予防)訪問入浴介護

0.7%

・通所介護
・地域密着型通所介護

0.7%

・(介護予防)通所リハビリテーション

0.6%

・(介護予防)特定施設入居者生活介護
・地域密着型特定施設入居者生活介護

0.8%

・(介護予防)認知症対応型通所介護

1.4%

・(介護予防)小規模多機能型居宅介護
・看護小規模多機能型居宅介護

1.0%

・(介護予防)認知症対応型共同生活介護

1.3%

・介護老人福祉施設
・地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護
・(介護予防)短期入所生活介護

0.9%

・介護老人保健施設
・(介護予防)短期入所療養介護(老健)

0.5%

・介護医療院
・(介護予防)短期入所療養介護(病院等・医療院)

0.3%

なお、以下のサービスは補助金の交付対象外となっています。

  • (介護予防)訪問看護
  • (介護予防)訪問リハビリテーション
  • (介護予防)福祉用具貸与
  • 特定(介護予防)福祉用具販売
  • (介護予防)居宅療養管理指導
  • 居宅介護支援
  • 介護予防支援

対象となる職種と、職種間での補助金の配分方法

介護職員処遇改善支援補助金の対象となる職種は、介護職員とされていますが、介護以外の職種についても、事業所の裁量により処遇改善の収入を柔軟にあてることが可能です。これは、6月から導入される新しい加算制度に沿った施策方針です。

各職種に対する補助金の配分方法は、介護職員の処遇改善を優先しつつ、介護職員以外の職種の賃金改善にも配分可能とされています。

対象となる事業所

介護職員処遇改善支援補助金の対象となる事業所は、交付対象期間の各月で介護職員等ベースアップ等支援加算(ベア加算)が算定され、かつ賃金改善等の要件(*)を満たしている事業所です。(*要件の詳細は次章で解説しています。)

ただし、ベア加算の算定に間に合わない場合は、2月と3月は未算定でも4月以降の算定があれば対象となります。5月までに廃止または休止が決まっている事業所は、補助金の対象外です。

介護予防・日常生活支援総合事業においては、従前のサービスに加え、市町村がベア加算に相当する特定の加算を設けており、それが算定されている場合に限り対象となります。

また、3月末で廃止される介護療養型医療施設(介護療養病床)は、4月以降に介護医療院や老健などへの移行が決まっている場合に限り対象です。この場合、2月と3月分の交付率は介護医療院と同じであり、4月と5月分の補助額は移行後のサービスの交付率が適用されません。

申請方法・報告方法

2024年の介護職員処遇改善支援補助金の申請方法は、各事業所が都道府県に対し、介護職員およびその他の職員の賃金改善の計画書を提出する形で申請します。この計画書には賃金改善の総額を記載し、職員ごとの改善額の詳細の記載は不要です。

報告方法は、賃金改善期間終了後に、各事業所が都道府県へ計画の実績報告書を提出します。この報告書にも賃金改善の総額を記載しますが、職員ごとの改善額の詳細は求められません。

なお、2022年(令和4年)の処遇改善補助金の申請時に求められた、「賃金改善開始の報告」は、今回は不要とされています。

提出先

介護職員処遇改善支援補助金の申請書類は、法人ごとに都道府県へ提出します。介護報酬に関する届出を市町村に行うサービス事業者でも、この補助金の提出先は都道府県です。

提出先

引用:「介護職員処遇改善支援補助金」のご案内|厚生労働省

同一法人内の事業所の申請は、都道府県ごとにまとめて行うことができます。

提出期限

各書類の提出受付開始時期や提出期限は、都道府県ごとに異なります。

過去の2022年(令和4年)度の補助金制度を参考にすると、計画書の提出期限は通常の処遇改善加算計画書と同様に、2024年(令和6年)4月15日~30日頃になります。また、実績報告書の提出期限は、5月分の補助金が入金される7月から2カ月後の9月30日頃と予想されます。

ただし、これらの具体的な期限については、各都道府県の発表を詳しく確認する必要があります。

2024年度「介護職員処遇改善支援補助金」の対象となる要件

続いて、2024年度「介護職員処遇改善支援補助金」の対象となるための、取得要件を確認していきましょう。

補助金の対象となる要件は、以下の3つです。

  • 介護職員等のベースアップ等支援加算が適用されていること
  • 賃金改善を原則2月から開始すること
  • 補助額の全額を賃金改善にあて、かつ4・5月の3分の2以上を基本給等の引き上げにあてる

それぞれ解説します。

1. 介護職員等のベースアップ等支援加算が適用されていること

一つ目の要件は、介護職員ベースアップ等支援加算(ベア加算)を取得していることです。これには、2024年4月からベア加算を取得する見込みの事業所も含まれます。

まだ算定していない事業所は、都道府県や市町村への届出を準備する必要があります。

2. 賃金改善の開始時期は、原則2月から

賃金改善の開始時期は、原則として2024年2・3月分から行うことも要件の一つです。ただし、就業規則の改訂が間に合わないなど、賃金計画の変更に時間がかかる場合は、2月分に限り3月分とまとめて行うことも認められています。

また、賃金改善は一時金などによっても実施可能です。各月の賃金改善額がその月の補助金額を上回る必要はないものとされています。

3. 補助額の全額を賃金改善にあて、かつ4・5月の3分の2以上を基本給等の引き上げにあてる

介護職員処遇改善支援補助金の取得要件として、「補助金の全額を賃金改善にあてること」と、かつ「2024年4・5月分の補助額の3分の2以上を基本給等の引上げにあてること」が求められます。

これはベア加算の要件と同様ですが、すでにベア加算を取得している事業所の場合、既存のベア加算に上乗せして、3分の2以上を基本給等の引上げ(月給の改善)にあてる必要があります。

基本給等にあてた額以外の部分は、賞与や一時金などによる賃金改善にあてることができ、全体として、補助金の額を上回る賃金改善を行う必要があります。

介護職員処遇改善支援補助金の取得要件

引用:「介護職員処遇改善支援補助金」のご案内|厚生労働省

介護・福祉事業所で対応する際のポイント

介護・福祉事業所が2024年度「介護職員処遇改善支援補助金」の交付を受けるためには、次の2つのポイントを押さえたうえで対応すると良いでしょう。

ベア加算を取得していない場合は、取得の準備を進める

補助金の取得要件では、2024年年2月から5月までの期間に、賃上げやベア加算を実施することが重要な条件となっています。

ベア加算の取得には、適切な条件を満たすための措置や調整が必要です。ベア加算を取得していない場合は、ベア加算の算定や申請手続きの準備を進め、補助金の要件を満たすよう早めの対応を行いましょう。

賃上げに向けて、就業規則や賃金規程の改定に取り組む

今回の補助金を活用して賃金の改善を行う場合、就業規則や賃金規程の改定が必要です。賃金規程の再構築が必要となり、新たにベア加算を取得する場合よりも作業が複雑化するケースもあります。また、賃上げを実施する際には、従業員の立場や法的規制に配慮しながら、適切な手続きを踏むことも不可欠です。

具体的な改定内容や手続きについては、専門家のサポートや公的機関からの情報を活用し、適切な対応を行うと良いでしょう。

就業規則や賃金規程の改定に関しては、アステージ労士・行政書士事務所の社労士が専門知識を有しておりますので、お困りの際はぜひ当社へご相談ください。

まとめ

2024年度の「介護職員処遇改善支援補助金」の実施要項は、次の通りです。

  • 対象期間:2024年2月~5月まで
  • 補助金額:「各介護サービス事業所の総報酬 × 交付率」で算出
  • 交付率:サービス区分によって異なり、0.3%~1.4%
  • 職種間での補助金の配分方法:介護職員の処遇改善を優先しつつ、他の職種の賃金改善にも利用可能
  • 申請書の提出先:都道府県

また、補助金の対象となる要件は以下の通りです。

  • 介護職員等のベア加算が適用されていること
  • 賃金改善を原則として2月から開始すること
  • 補助額の全額を賃金改善にあて、かつ4・5月の3分の2以上を基本給等の引き上げにあてること

ベア加算を取得していない場合は、取得の準備を進めることと、賃上げに向けて就業規則や賃金規程の改定に取り組むことも忘れずに行いましょう。

処遇改善加算の一本化や補助金の対応については、アステージ社労士・行政書士事務所の「介護事業開業サポートセンター」にご相談ください。介護・福祉事業に精通した社労士・行政書士が処遇改善加算の申請や届出サポートを行っております。

執筆者情報

佐藤壱磨
佐藤壱磨
事務所名:アステージ社労士・行政書士事務所
所属等:日本行政書士会連合会/全国社会保険労務士会連合会/大阪府行政書士会/大阪府社会保険労務士会/大阪商工会議所会員
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